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2013年7月

26日・満足間違いなし!オーベルジュ オー・ミラドー


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勤め先から10年勤続のお祝いに休みを頂いたため、嫁が幼少期、独身時代から両親や友だちと何回も訪れているという箱根芦ノ湖畔にある「オーベルジュ オー・ミラドー」に行ってきました。ここは日本で初めて開設され、その後全国に普及したオーベルジュとして歴史的な施設です。


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外観は幼少期と変わらないようですが、初めて訪れた私でもとてもコマメに手を入れているのがわかる綺麗な施設です。しかし初めての頃とそう変わらないって30年近く前なのに…そう考えるとみるとなかなか凄いことですね。


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玄関から入って噴水を半周した所で、建物エントランス正面で待機していたドアマンが車を駐車場に回してくれ、ベルボーイが荷物をポーター室へ、私共を「Bar利休」へ案内してくれました。
ちなみにこのベルボーイ、年の頃は私と同じぐらいか少し下に見えましたが、私と嫁を見るなりこちらから名乗っていないにも関わらず名前で呼んでくれました。車のナンバーから判別した地域か、何度も来ている嫁の顔か、何で判ったかは分かりませんが、名前が売れていて営業努力があまり要らない観光地にも、プロフェッショナルがいるんだなぁと感心してしまいました。ちなみにこの方は胸バッジを見る限りソムリエを兼ねているようで、この施設の中で中心的な枠割を担っているように見えました。


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案内されたBar利休は営業時間外ですが、チェックインの方向けに開放している模様。ソファーとカウンターが選べたので、和風の庭が見えるカウンターへ。すぐにウエルカムドリンクのハーブティーが出てきました。暑かったのでキンキンに冷えたハーブティーが美味しかったです。

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香り高いハーブティーを飲みながら優雅にチェックインしたあと、ベルボーイが施設を案内しながら、部屋に荷物を運んでくれました。


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部屋はオーベルジュ・オー・ミラドー3館の中心に位置する、パヴィヨンの209号室。


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部屋に入ると古き良きオーベルジュらしい良い香りが♪


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ベッドの設えもキマってます。


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ベッドの上のバスローブとバスタオルには、ハーブとウエルカムショコラが置いてありました。


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こういった小さな心配りこそが一流の証だと思います。少しビターで甘さ控えめなショコラ、私一粒、嫁二粒を美味しくいただきました。


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机の上には冷蔵庫がない代わりにハーフボトルのシャンパンとミネラルウォーターが氷水に浸して置いてありました。ミネラルウォーターも単なるペットボトルでなくFENEというところこだわりを感じます。


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ご案内の冊子もずいぶんとオシャレ。この日もいらっしゃいましたが、外国のお客様も多いようで、すべての案内に英語併記がありました。
ちなみにこの部屋はコネクティングルームになっていて、当然今回は鍵が閉められていて隣の部屋と行き来することはできませんが、このあたりはさすがオーベルジュを冠するだけあります。


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湖畔から少し距離があるため期待していなかったのですが、少し高台にあるからかバルコニーからは芦ノ湖が見えました。白亜の手すりにバルコニーテーブル、チェアは雰囲気抜群です。


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眼下には噴水を囲むロータリーと洋風の庭園があり、国内にいることを忘れさせてくれる非日常的な空間が広がっています。この他、部屋の調度品はすべて輸入物かアンティーク物で構成されており、築年数が経っていることが逆にいい雰囲気を醸し出しています。

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ディナーまでにはまだだいぶ時間があるので、部屋で休んだあとは小じんまりしつつも雰囲気抜群な敷地内を散策。こちらはパヴィヨン・ミラドーの右手にあるレストラン棟のエントランス。この一角だけでもすでに南欧の香りがします。


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エントランスの横にはお土産コーナー(ブティック)も。小さいながら素敵なセレクションでした。


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施設内のこんな感じの小径を歩いて行くと…


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水着着用で入れるプールが!この日は平日なので入っている人はいませんでしたが、夏はいいですねぇ。


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プールのすぐ横には温泉の浴槽もありました。源泉の熱い箱根としては低い温度でしたが、プールで冷えた体にはちょうどいい温度でした。この隣にはサウナもあり、オーベルジュながら施設の充実度はピカイチです。

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レストラン棟の裏を回ったパヴィヨンの裏手には、こちらも水着着用の露天風呂があります。


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その隣には大きなジャグジーも。温度は低めで長く入れるのが特徴です。


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ジャグジーに入りながら眺める新緑…贅沢ですなぁ〜(^^)


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ジャグジーと露天風呂をしばらく堪能したあとは、パヴィヨンの左手にあり、3つの施設の中では最も新しいコロニアル・ミラドーへ。


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こちらはオリエンタルな雰囲気の中にチャペルと温泉、スパにベッドルーム、レストランを備えた施設で、温泉はちょうどチャペルの下に位置します。


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正にオリエンタルな雰囲気の空間の先には心地良い湿度と温度、香りのする大浴場が。


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他のお客さんがいなかったので、撮らせて頂きました。こちらは男湯ですが女湯もこんな感じらしく、ここだけは水着の着用なしでOK。私好みの少し熱い箱根らしい温度の温泉は温度調整のため加水されていますが、大涌谷に近いので硫黄泉と勝手に思っていた泉質は無味無臭の単純温泉で、癖のない泉質は長く入るにはぴったりでした。


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温泉で日頃の疲れが取れたあとはお待ちかねのディナータイム。まずはレストラン棟のガーデンサイド・ダイニングで食前酒とアミューズを楽しみます。
(自分史上最高に美味しかったので、詳し〜くレポートしてみます!)


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席に座ると程なくしてメニューの案内がありました。この日はハーフコース(本日のスープはなし・メインは肉と魚のいずれか)のファンタジーメニューと、それらの全て付くフルコース、フルコースに相当するシェフの創作メニュー、さらに創作メニューに追加する形でエクストラメニューがありましたが、ファンタジーメニューで不足を感じない内容だったので、この日は最もシンプルなハーフのファンタジーメニューをオーダーしました。


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数種類の食前酒から選んだのは…


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私が梅の名産地、小田原下曽我の青梅で作った自家製エキスをシャンパンで割った爽やかな食前酒、嫁が梅のエキスなしのシャンパン。


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これに合わせるアミューズブーシュ(1つ目)はこちら。


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紫陽花に彩られたお皿にはオリーブのマドレーヌに魚のリエット、竹炭を混ぜ込んだピザの皮のようなクラッカーの上にはリエット上にラディッシュ、マッシュルーム、ドライアプリコット、ハーブ、紅鱒の卵の浅塩漬けが。風味豊かなオリーブのマドレーヌはまだ焼きたてなのかほんのり温かく、塩気のあるリエットとの相性は抜群、竹炭を混ぜ込んだアミューズの方もリエットが味付けのベースになりながら、それぞれシャキッ、サクッ、ムニャ、プリッと違った食感と風味を楽しむことができ、シャンパンが進むアミューズでした。
ちなみに梅のエキスのある・無しの風味はほとんど変わりませんので、エキスはシャンパンの風味を損なわないように少し入っている程度と思われます。


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1つ目のアミューズを食べ終わるとテラスサイドのダイニングを通って奥の暖炉脇ダイニングに案内されました。ここ、オーベルジュ・オー・ミラドーは1995年の名ドラマ「王様のレストラン」のモデルになっており、厨房入口の赤い壁はドラマでもそっくりに再現されていましたね。もちろんこちらがオリジナルです。
しかしドラマ以上にすごいなと思ったのは全てのボーイ、特に黒服をしっかり着こなしている方々。動きが機敏だし、テーブルをさり気なく見渡しながら厨房に入ったり料理を出したり、時にお客の話し相手になったりとかなり高いサービスレベルにあること。小さいことですがガーデンテラスに座った時、またも初対面のはずなのに名前で呼ばれ、かつ自己紹介をされたときから感動の予兆がありました。都内の高級店ならまだしも人里離れた芦ノ湖畔にこれだけの人材がどうして集まっているのか、どのように集めるのか気になって仕方がありません。


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他の給仕員も多くが付けていたのと、私共の給仕を担当してくれた方がソムリエバッジを付けていたので、「今が飲み頃のオススメ白ワインを2種類お任せで」ということで出してもらったのが、2010年のピュリニー・モンラッシェと2011年のドメーヌ・デュ・ムーラン。どちらも高級ワインではありませんが、比較的長い年月使用されている感のある樽の香りがよく付き、モンラッシェのほうが樹齢の長い葡萄の木と等級の高い畑で作られた感がムーランよりあるものの、いずれも程よい酸味と辛味がバランスよくまとめられたまさに旬の飲み口で、少し濃いめの味付けでお酒が進むお料理にピッタリ!値段以上の美味しさでした。


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暖炉脇のメインダイニングに移ってきて、ワインのすぐ後に出てきたのは2つ目のアミューズ。まずは逆さになっているワイングラスの上に乗せられたパリパリの野菜チップスとリエット、魚卵を食べると…


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カクテルシェイカーに入った玉蜀黍の冷製スープの出番。


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ワイングラスをひっくり返すと冷製スープを注いでくれるといった仕掛けになっています。お皿にあるチーズと小麦粉を混ぜ込んで焼いたクジュールの柔らかくて優しい食感・風味と、パルメザンチーズを薄く伸ばして焼いたポテトチップスのような少し味の濃いものがちょうどよくマッチし、さらに濃厚な魚介エキスがアクセントとなっている竹炭を混ぜ込んだ生地でトマトと烏賊を煮込んだものを巻いたもの、それぞれが絶妙なバランスで鼎立した至極の一皿でした。


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次は「野菜のパミセリー仕立て 海老とカラスミを添えて」と題されたメニュー。中心に配された海老とカラスミを囲むマリネの夏野菜を食べながら、キャビアのそえられた人参とカッペリーニの冷製パスタを好みによってカラスミパウダーをまぶすといった仕掛け。軽く漬けてある野菜の酸味をパスタが口の中で中和し、美味しい感覚を増幅した状態で喉を通る食感と風味がこれまた絶妙でした。


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次は(嫁がオーダーした)メインの「富士金華豚の三枚肉のラグー 別添のアマンドミルクと共に」が来ました。金華豚のコンフィにお好みでバルサミコソースを付けながらまずは食べ、「アマンドミルク」と題されたココナッツのミルクソースを一緒に飲んで口の中で完成させるというオシャレな仕掛け。


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金華豚のコンフィという時点である程度の美味しさは予想できるのですが、ミルクソースと混ぜ合わせることで脂っこさがなくなり、心地良い後味が食べた余韻まで楽しませてくれる、見た目はシンプルだけど味はデレコーティブな一皿でした。写真左上に少し映っている全粒粉のパンとの相性が良かったことは言うまでもありません。


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次は魚のメイン。メニューの説明の前にこのメニューの場合は美味しさへの自信を暗示する、さりげないけれど重要なステップがありました。この見た目だとナイフが必要だと思いませんか?しかしテーブルにセットされたのはフォークとスプーンのみ。鯛の焼き物だけどナイフが不要なほど柔らかく食べやすいことを暗示させる時点で、かなり自信のあるメニューなんだなと思いましたが、この「近海魚のロースト 香草フレーバーと甘い玉葱のスービースと共に」と名付けられた一皿は見事にその期待に応えてくれました。
近海物の真鯛の焼ものとムース状のパプリカのソースの上には、ゼラチン状に柔らかく固められた甲殻類のエキスとサフランのソースと野菜が一塊になっているもの、その横に玉葱のペーストソース、手前に香り付けと彩りのバランス・辛いもの好きならお好みで混ぜるカイエンペッパーが、まずは視覚で楽しませてくれます。


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味の方もメインに相応しい美味しさと独創性に溢れた、この日食べた中で一番アメイジングな内容でした。一番のポイントはローストされたあとにバーナーで焼かれたと思われる真鯛の皮のパリパリ感と塩気、長い時間かけて抽出された出汁を固めたと思われるゼラチンが中心となり、口の中で広がるフルバンドのようなスケール感!そしてこれだけ盛り込んでもスプーンだけで切れる柔らかさ。まさに旬の地産の美味しさを凝縮した至極の一皿でした。
普通のフルコースのメインは肉の単品の迫力、魚の場合は素材のいいとこ取りで対抗するような感じになりますが、これら2品の場合は肉と魚が一緒に出てきてもとてもバランスがいいと思われますし、この料理は今まで私が食べた魚料理で一番と言っていい、とても完成度の高い一品でした。


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メインダイニングでの最後の一品は「ココナッツ風味のライスプディング 無花果とバニラアイスクリームと共に」と名付けられたデザートの一つ目。
四角くて白いココナッツのライスプリンの上に無花果のコンポート、食べ頃のバニラビーンズ入りバニラアイスの上に添えられた、ひよこ豆を砕いて焼いたカラメルのようなリーフ状のものをスプーンで砕きながら食べる一品は、残り少なくなった辛口のワインをもう1杯頼みたくなる絶妙な甘さが美味しいスキのないデザートでした。


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一つ目のデザートの甘さを残りのワインでリフレッシュした頃にはちょうど満腹となり、小一時間まったり。その後、ブティック脇のサロンに席を移してのティータイムになりました。コーヒーとハーブティーが選べましたが、食べ始めてからすでに3時間近く、夜も遅いのでカフェインの入っていないハーブティーにしました。


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レモンの絞り汁が入っているのではなく、レモンのような風味が特徴のレモンリーフは摘みたてと思われるほどフレッシュで、「1分30秒蒸らせてから注いでください」とのことでちょうどその頃に注ぐと、程良い苦味と葉を絞ったような強く爽やかなハーブがこれまでの料理の後味を消し、締めくくりのデザートを最後まで美味しく味あわせてくれました。


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「プティフール」として出てきた2つ目のデザートはレーズン入りのフィナンシェと、作りたての生チョコを絞ったような軽い苦味と甘さが特徴のショコラ。満腹であることを計算したような2つ目のデザートは量、味ともちょうど良く、これまでの料理の味、ワインの余韻を思い出させてくれました。
料理のすべてに父と同い年の老練な勝又登氏の気持ちが入ったようなコースは、これでも一番シンプルなディナー。創作メニューやエクストラメニューを食べてみたくもなりますが今日は満腹のためここまで。しかし一番シンプルなディナーコースでも序章からエンディングまでしっかりとした流れがあるかのようで恐れ入りました。また最後にはそろそろ見頃を終える紫陽花が華を添え、自分史上最高のディナーは夢の中にまで出てきたのでした(^^ゞ


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翌朝、朝一番の温泉でスッキリしたあとの朝食は、場所がレストランからコロニアル・ミラドーに移ります。オー・ミラドー棟からコロニアル・ミラドーへ歩いて向かいます。


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こちらが朝食会場。ちょっと執拗いぐらいのオリエンタルっぷりはオーベルジュ・オー・ミラドーのオーナーシェフ、勝又登氏がすべて現地に直接赴いて買い付けてきたものなんだとか。ビストロブームを巻き起こした氏の多才さが垣間見れます。


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下界は炎天下の真夏日の放射熱がうっとおしい熱帯夜明けでも、標高の高い箱根には空調のいらない心地良い風が新緑の間を縫って穏やかに吹いており、あまり虫も出ないせいか窓は開放されていました。
窓際の席に座りたくて朝食の始まる時間よりも少し早めに行った会場には、私達と同じように考えたであろう方々が既にいらっしゃって完全な窓際にはなりませんでしが、席につくとすぐにブリオッシュ、クロワッサン、マフィンなどが入ったパンを持ってきてくれたので、少し塩気のあるバターとプラム、マーマレード、キュウイ、パイナップルのジャムをパンを温かいコーヒーと牛乳、時にカフェオレにしながら食べていると、モーニングのプレートが運ばれてきました。


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プレートは左下からエビ味噌が濃縮されてパンが進む海老茶碗蒸し、1個で7年寿命が伸びると言われる大涌谷名物の黒たまごにキャビアで塩気を付けたもの、ヨーグルトとそれにかけるフルーツグラノーラ、上は左から適温で素材の甘みが充分に引き出された玉葱とカブのポタージュ、熱海・山梨で採れた旬の果物のフルーツポンチ、ワイングラスに入っているのはマンゴーとグレープフルーツの濃厚かつサッパリとした後味のジュースです。


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これに三島にある広川農園の無農薬野菜が、酸味の適度に強いドレッシングにまぶされて別皿で加わるという内容。見た目通りシンプルでディナーのような複層的な味付けはありませんが、一つ一つの素材の良さを生かした薄めの味付けは朝食として適しており、オー・ミラドーでの食事の満足感が増す内容でした。


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コロニアル・ミラドーの朝食会場の横には緑に囲まれた素敵なチャペルも。人里離れた場所なので結婚式に呼ばれるのは大変そうですが、披露宴の食事もきっと凄く美味しいでしょうから、呼ばれた方も帰る頃には大変さも忘れてしまうことでしょう。呼ばれる方が羨ましい(^^ゞ
チェックアウト時間近くまで新聞を読んだり嫁と話たりしてのんびりしたあとは、ポーラ美術館に寄り子育てに戻ったのでした。

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ということで子育ての忙しい合間、嫁のお母さんが息抜きにと送り出してくれたお陰で実現したオーベルジュ・オー・ミラドーでの1泊2日はしっかりのんびり、そして大満足といい勉強が出来ました。オー・ミラドーの決まりで少なくともあと12年は経たないといけないのですが、本物を知る大人になってほしい娘を必ず連れて行きたいリストに入れておきたいここは、食事だけでも、泊まるなら温泉もあり、よりオススメできる所の一つです。さらにコストパフォーマンスという点においては一番オススメできます。大袈裟なぐらいの大絶賛で自分で読んでも自分らしくないと感じるほどですが、お近くの方も遠方の方もぜひ足を運んでみてください。

<所在地>
〒250-0522 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根159-15
 TEL:0460-84-7229 FAX:0460-84-7496
<ホームページ>
http://www.mirador.co.jp

 

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